F頭皮温度の低下による脱毛 外気温は、冬の寒い日で零下を割る日があるかと思えば、真夏の暑い日には40℃を超えることもあり、年間を通して体温の36.5℃を超える日は真夏の数日間しかなく、大半は体温をはるかに下回る日の方が多く、酵素の働きが低下します。その為に我々は衣服を身に付けるのですが、衣服を身に付けることのない頭皮は、毛髪と皮脂がその代役を務めています。 風邪を引いて病院に行くと、お医者さんは「症状がおさまるまではお風呂に入らないで下さい」と言います。これは、風呂上がりの湯冷めの事もありますが、皮脂を洗い落としてしまう為に起こる体温の低下を警告しているのです。 このように、体表で補いきれない範囲の体温の変化は表皮を通して末梢神経が脳に伝達し、その状況に応じて視床下部が自律神経を駆動し、体温より高温の場合は汗を出し、体内の熱を放散します。逆に体温より低い場合は、起毛筋を収縮し毛穴をつぼめ、鳥肌を立てて熱の発散を押さえ、更に筋肉を震わせ熱を発生しますが、天頂部のように筋肉のない皮膚組織は、熱細胞の働きによって自熱を発生します。禿げている部分を触ると、その部分だけ熱を感じるのはそのせいなのです。 低下した体温の調節を行なうのは、交感神経の働きによって行なわれますが、その時の伝達物質はノルアドレナリンで、強い毒性を持ち内臓障害を誘発する要因を持つほか、末梢血管を収縮させ毛母細胞、毛包組織、毛乳頭組織の働きが低下します。 以上述べてきたことは、通常の湿度の条件下の事ですが、シャンプー後や汗、雨などで濡れて頭皮や毛髪に水分が残留していると、その水分が蒸発する際に気化熱を奪われ、更に頭皮温度が低下します。従って、朝シャンをして水分が取り切れない髪のまま出勤したり、汗をかいている状態を自覚しないでかつらやウィッグ、帽子等を装着していると、これらの原因は更に悪化します。 そこに風が当ると、風速1mにつき約1℃の割合で体感温度が低下しますから、夕立の後、東風の吹く日の外出、あるいは窓を全開した車の長時間運転や、夜間の外出等もこれらの事を考慮する必要があります。
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