I5α−リダクターゼの過剰分泌による脱毛 昔から脱毛症と言えば、「男性ホルモン過剰」「遺伝」「神経の酷使」を挙げ、これらは体内に起因するものとして、育毛剤や発毛剤の効果が無かった時の申し開き、即ち責任回避の「三神器」として使われてきました。 特に前頭部から禿げ上がっている人達に対しては、ひげが濃い、体毛が濃い、頭皮が脂ぎっている、セックスも強い等々...「男性ホルモン過剰」という原因を持ち出すにはもってこいの好条件があったのです。 しかし、この条件を備えながらも禿げないでいる人達は納得できない話しで、私自身もこのような悪条件を備えていながらなぜつるっ禿げにならないのか大変悩んできました。 ところが、近年になってドイツの学者によって、男性ホルモン「睾丸より分泌されるテストステロン」そのものには毛髪の生成を阻害する作用はなく、皮脂腺より分泌される活動型の酵素「5α−リダクターゼ」とテストステロンが結合すると、生理作用の強い5α−ディヒドロテストステロンに変化し、毛髪の生成を阻害するという事が解ったのです。 ディヒドロテストステロンは、テストステロンに水素が2個ついたもので、その作用は強く、毛乳頭を始め、毛包の周囲に組織される毛細血管を収縮させ、毛母細胞の分裂を抑制し、毛包を萎縮させ、毛髪の生成を阻害したり、異常脱毛を誘発します。 多くの化学者達は、テストステロン、5α−リダクターゼの分泌を抑制したり、阻害する作用の研究は進んでいますが、未だ異常分泌の原因、要因に関する研究においては打つ手がないようです。
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