(4)発毛を促進させる栄養 @毛髪と栄養 発毛の講義の際、「毛髪の生成成長を促すにはどのような栄養を摂れば良いのでしょう」かという質問をする事があります。 「解らない」「あまり関係ない」「毎日の栄養から摂っているだけで充分」と認識の低さが伺える答えが返ってきますが、大変驚いた答えに毛髪の成分表にある「蛋白質とイオウ」と答えた人が多くありました。この答えは絶対的な間違いとは言えませんが、実はこの考え方には大変な誤解があり、発毛育毛が成功しない原因でもあるのです。 牛を思い出して下さい。草や穀物しか食べてないのに全身に毛が生え角が生え、しかも人間に牛乳や肉まで提供してくれます。これは摂取した栄養を物質代謝して得た結果なのです。当然、人体も毛髪も同じ物質代謝の結果生まれたもので,毛髪を分析した結果の成分を云々するということは、発毛育毛という目的からすれば決して的を得た答えではありません。 一方、発毛ドックに訪れる人達に食事は何の目的で摂っていますかという質問に対して、最も多かった答えは食欲を満たすが90%、習慣的にが8%、栄養を摂る為にが何と2%しかなかったのです。 このアンケートからも解かる事は、脱毛、薄毛に悩む人達は栄養の事は考えず自分の好みで空っ腹を満たしているという事になります。しかも、大半の人は加工食品やインスタント食品を常食し自ら脱毛促進食品を選択していた事も判明しました。 そして、これらの中には巷に氾濫する情報に振り回され、栄養に対して偏見を持っている事も解かりました。 一例を挙げれば、あるテレビ番組で豚肉にビタミン・B1が豊富に含まれているという事を知った時から毎日豚肉を食べているという方がいました。しかも水溶性ビタミンだから毎日摂らなければダメなのですと主張し譲りません。 果してこれで良いのでしょうか、答えは「ノー」です。 腸内にはビヒズス菌や乳酸菌などの善玉菌と大腸菌やウェルネッシュ菌などの悪玉菌が常在していますが、ビヒズス菌は腸内でビタミン・B1を合成して人間に与えてくれる他、ビヒズス菌の持つエキス成分は発毛促進作用があります。しかし、毎日のように動物性の蛋白質を摂り続けていると悪玉菌が増え、ビヒズス菌の働きが弱まるばかりではなく、大腸菌やウェルネッシュ菌からビタミン・B1破壊酵素が放出され逆にビタミン・B1が壊れてしまうのです。 このように一方的な情報や誤った情報が氾濫しているご時世では、髪の毛に悩む人達はどのような食べ物を摂れば良いのでしょうか。
ここでもう一度、人体に対する栄養の働きを簡単にお浚いしてみましょう。 糖質、脂質、蛋白質の一部は生体を維持し、毛髪の生成・生長を促すエネルギー源として働き、蛋白質とミネラルは生体及び毛髪の構成物質として、ビタミンとミネラルの一部は糖質、脂質、蛋白質の代謝を補助し、円滑にして毛髪の質を生み出します。 更に、毛髪の健全な生成成長を側面から支え体内の正常な機能を円滑にする機能性成分、心と脳・神経の働きを正常に保つ栄養群、環境の悪化や化学物質汚染から生体と毛髪を守る栄養群等々、毛髪が生成生長してゆく上においては多くの栄養素が必要なのです。 この項では、私が約30年の歳月をかけてこれらの問題に取り組み、実際にサプリメントをつくり発毛ドックで実践してきた結果、最低限この程度の栄養が必要であるという結論に立ち、それぞれの食物が毛髪の生成生長に対してどのように働くのかについて述べます。
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